コドクの下女
テス・プレー
「犯人はアスト・グラッドが飲む酒に薬を混ぜ、頭部に外傷を負わせたと考えられます。薬の効果、この薬屋でアストがとるであろう行動をよく分かっていて、誰にも見られることなくアストと二人きりになることが可能であった人物、それはメイサ・バーンドさん、あなたしかいません」
ディーコン・スチュワード
「メイサ様、そうなのですか?」
メイサ・バーンド
「やっぱり探偵さんはすごいですね。もうごまかしようがありません。その通りです」
テス
「現場に散らばっていた酒瓶の破片やその周辺からはアルコールの香りがあまりしませんでした。これは恐らく薬を混ぜたことを隠すために入念に瓶を洗ったからでしょう。そしてその洗った瓶を戸のへりにでも置いたのでしょうか、自分以外の誰かが戸を開けたときに瓶が床に落ちて割れ、大きな音を出すように。小部屋の戸を開けたのは、確かディーコンさんでしたね」
ディーコン
「ええ、そうです。閉まっていたはずの戸が開いていたので気になりまして」
テス
「犯行の動機はオーナーの怪我や移転に関するアストへの恨みといったところでしょうか」
メイサ
「そうです。あんな奴、いなくなれば町も平和になるのに、と思ったんです。再開発を推し進めるためだけに、オーナーやこの商店街の人たちに怪我を負わせて、閉店や移転の話を無理やり進めて。あの人はオーナーも店もこの町もつぶそうとしました。平穏をたくさん奪ったアストが許せなかったんです」
テス
「話してくださってありがとうございます。確かにアスト・グラッドの行動は目に余るところがありました。メイサさんに同情する部分も多くあります。でも、すみません。私は探偵ですので、事件を見過ごすわけにはいかないんです」
メイサ
「はい、分かっています。罪を受け入れる心づもりはあります。私がしたことが正しいはずもありませんから」
ディーコン
「メイサ様、わずかな時間ではありましたが、またお会いできてよかったと思っております。何年後になるかわかりませんが、ご主人様と奥様のお墓にいつか一緒に参りましょう。私はこちらで待っておりますので」
約10年前、一人残された領主の娘。この薬屋で、この町で、やっとつかんだ平穏を守ろうと一人で毒へと立ち向かった。
毒を制すのは薬とは限らない。
薬を過ぎた毒、その毒をもって毒を制した、そんな事件であったと言えるかもしれない。
それでは、また次の事件でお会いしましょう。
Miss Murder
――孤独(蠱毒)の下女
【得点・結果】
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ディーコン・スチュワード
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