top of page
112
212
Mag「やっぱりテスさんが犯人ではないかと私は思います」
マッグ・エニーがそう切り出してテス・プレーを見る。残りの2人の視線もそちらへ集まった。
Joker「食堂車で自分とベア・アーランのグラスを入れ替えるところを見たよ。飲み物に薬でも混ぜたんじゃないかな?」
Sue「部屋の中のもので言うと、スプーンとフォークはあるのにナイフだけないのも不自然ですね」
ジョーカー・馬場とスー・ウィンストンが続けて畳み掛ける。この場にはもうテス・プレーの味方はいなかった。
Mag「首を絞めるのに使ったのはアーランさんのネクタイでしょうか?」
Joker「薬に絞首にナイフ、それってまるで……」
ジョーカー・馬場がその続きを告げる前にテス・プレーが自ら話し始める。
Tess「ええ、お察しの通りです。皆さんも未来の記憶を持ってここにいるのでしょうから覚えていますよね?あのホテルでの殺人を再現したのです。これで未来の皆さんや私の依頼人、そのお嬢さんも救われます。何とも鎮魂的な美しい事件だとは思いませんか?」
自供を終えたテス・プレーは満足そうに微笑む。窓の外で降る雪が桜のように舞った。
――酔狂の酩探偵
bottom of page