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Mag「やっぱりテスさんは疑わしいと私は思います」
マッグ・エニーがそう切り出してテス・プレーを見る。残りの2人の視線もそちらへ集まった。
Joker「食堂車での行動をしばらく観察していたけど、怪しい動きをしていたように思うよ」
Sue「部屋にいない時間もけっこうあったみたいですね」
ジョーカー・馬場とスー・ウィンストンが続けて畳み掛ける。この場にはもうテスの味方をする者はいなかった。
Tess「私は何もしていない。より詳細に被害者の状態を調べれば分かることです。私の部屋もどうぞ調べてください」
テスは強めの口調で追加調査を求めるが、協力が得られそうな雰囲気には到底ならない。それぞれが幾分かの嘘や秘密を抱えているこの状況下では冷たい視線が注がれるか、目を逸らされるかのどちらかである。
Mag「もう1時間近く話をしたのですから、十分ではありませんか?」
Joker「その上での結論だからね」
Tess「いや、まだ話が……。頼む、待ってくれぇーー」
冬の夜にふさわしい木枯らしのような声が列車内に虚しく響いていた。
――迷宮入りの迷探偵 再び
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