はじまりのストーリー
ここは那外樹(なぞとき)市にある脱出ゲーム専門店。二か月に一回ほどのペースで新作のルーム型脱出ゲームを打ち出すことで有名な店舗だ。今日もそこでは来月公開予定のゲームの調整が行われていた。
スタッフα「おはようございまーす。あれ、先輩だけ? 他の方は?」
がらんとしたバックヤードの空間にやけに響く声。スタッフαは扉から身体を半分覗かせながら首をひねった。
スタッフβ「おつかれ。なんか電車止まってるみたいでさ、みんな遅れてくるってさ」
部屋の中央にぽつんと立つスタッフβはスマートフォンをしまいながら溜息をつく。
スタッフα「それは大変ですね。リリースまでの予定けっこうカツカツなのに……」
スタッフβ「そうなんだよ……。まあ先にできることは進めておこう」
スタッフα「はい。あ、新作の部屋、見てみたいです! 贅沢に二部屋使った脱出ゲームって聞いて、もうワクワクで」
これからのスケジュールを考えてか、晴れない顔をするスタッフβに対し、スタッフαは新作のポスターの前でうっとりとした表情を見せている。
スタッフβ「あぁ、その部屋ならどちらもだいたい配置が終わったって言ってたな。その最終確認がちょうどいいかもな」
2人は新作のルーム前へやってきた。参加者を二部屋に分け、情報共有を楽しみながら謎を解いてもらうコンセプトの作品だ。二部屋間の通信手段は専用の無線機。スマートフォン等による写真や動画の共有が行われないよう、部屋内はどちらも圏外になっている。
スタッフβ「じゃあ念のため、この無線機をお互いに持って部屋に入ろうか」
スタッフα「念のためって、どういうことですか?」
スタッフβ「数か月前にスタッフが一人、こういうゲーム用の部屋に閉じ込められる事態が起こったんだよ。そんなことはめったに起こらないから、心配する必要はそうないけどな」
スタッフα「へぇ~、ちょっと面白そうですね」
悪戯っぽい笑みをこぼすスタッフαをたしなめながら、スタッフβは無線機を手渡す。
スタッフβ「じゃあ、こっちの部屋を担当するから、そちらは任せたよ」
スタッフα「はぁい」
2人はそれぞれ向かい合う二部屋に入って行った。
――数分後
スタッフβ「ん?ドアが開かないな……。何か引っかかっているのか。連絡して外から開けてもらうか」
スタッフβはドア――ゲーム内ではそこの鍵を開けられたらクリアとなる場所――をガチャガチャと数回鳴らし、手を離す。さして回すタイプの鍵もついているが、それとは別にアルファベット入力で開閉するようになっている。とは言え、鍵もパスワードも入室してからかけた覚えはない。
スタッフα『こちらルームα、先輩どうしました?』
スタッフβ「ドアが開かなくなってしまってな……。一旦外から開けてくれないか?」
スタッフαの無線から、室内を歩く足音、ルームαのドアを開けようとする音が聞こえてくる。
スタッフα『先輩、大変です』
音が止むなり、スタッフαはどこか嬉しそうに無線へ語り掛けてきた。
スタッフα『こちらもドアが開きません! さっきの話の続きですけど、前に閉じ込められた人はどうやって外へ出たんですか?』
スタッフβは一呼吸置いた後、事態の結末を告げた。
スタッフβ「本番さながらに謎を解いて脱出したのさ」
――最終目標は〈ドアを開けるためのパスワードを導くこと〉
脱出ゲームからの脱出 START
ゲーム全体について
舞台はルーム型脱出ゲームを展開する店舗で、そこのスタッフαとスタッフβに分かれて遊びます。ゲーム中は互いの画面を見てはいけません。声や文字で伝達しながら遊ぶことを想定して作られています。
謎を解く上で必要と思われる知識の検索は自由です。
ヒント・解答は好きなタイミングで閲覧できます。
プレイ環境について
LINEやDiscordなどリアルタイムで通話が可能なアプリの使用を推奨します。情報の伝達に時間がかかりますが、チャットでも一応遊べます。
プレイヤー全員がパソコンを使用できる状況が望ましいです。ユドナリウムにおけるスマートフォンでの動作は保証いたしません。
プレイヤー選択について
スタッフα役(想定難易度★★★☆☆)、スタッフβ役(想定難易度★★★★☆)に分かれます。2人の場合は1人ずつ、3人以上の場合は一つの役に複数人が入ります。
ユドナリウム準備について
本ゲームではユドナリウムというweb上のアプリを使用します。アプリ自体はブラウザから使用できるため、別途ダウンロードする必要はありません。
それぞれのボタンより先に進んでください。ZIPファイル(本ゲームデータ)をパソコンにダウンロードし、ユドナリウムの準備を整えます。ダウンロードボタンと準備の説明はそれぞれ、スタッフα用/スタッフβ用をクリックした先にあります。パスワードはBOOTHまたはnoteから確認してください。第1弾と間違えないよう注意してください。
お互いのページはネタバレになる可能性があるので、閲覧してはいけません。
準備が整ったらゲームを始めましょう。このホームページは、ヒントやチェックポイントとして使用するため、開いたままにしておくことを推奨します。