ゲームにご参加のお客様ですね。私を選んでくださりありがとうございます。
私はスー・クルーと申します。このホテルのフロント係をしています。
このゲームでは、お客様が私になりきってくださるとお聞きしています。
今から私の過去と昨日の行動をお話ししますね。
どうかベア・アーランに正義の鉄槌を――。
私は2年前までベア学園で教師をしていました。今はこうしてフロント係をしているわけですが、教師を辞めた、いえ、辞めさせられたきっかけとなる事件があったのです。2年前、私が担任をしていたクラスの生徒が一家心中で命を落としました。その子のお父様はアーラン財団の経理に関わっていましたから、その一家の事件にベア・アーランが関わっていることは間違いありません。私は生徒の無念を晴らそうと、その事件について調べ始めました。しかし、そのことがベア・アーランにバレてしまったのです。それまで大きな問題がなかったはずの私の両親の商売の状況が急に悪化したり、私の周りで変なことが起きたりと警告されているのは明らかでした。私は学園を辞めざるを得ませんでした。世間からは担任が逃げたと言われ、その噂のせいで教師として再就職することが叶いませんでした。夫とも別れました。月日が経つごとにベア・アーランへの恨みがつのっていきました。
しばらくまともに働くことができていませんでしたが、半年前に郊外の個人経営のホテルがスタッフを募集しているのを見つけました。オーナーに話を聞きに行ったところ、たくさんの人が来ることはない静かなホテルだということが分かりました。それなら働けそうだと思い、私はそこでフロント係をすることになりました。離婚したことでファミリーネームは変わっているし、恐らくホテルの人たちは私が件の担任教師であるとは気づいていないでしょう。仕事を初めて一か月が経ったころのことでした。私は予約リストを見て驚きました。そこにベア・アーランの名前があったからです。
ベア・アーランはこのホテルを年に何度か裏取引に利用しているようでした。私はフロント係として3回ほど、ベア・アーランと顔を合わせました。私はそのたびに腸が煮えくり返りそうでしたが、
ベア・アーランは顔色一つ変えません。恐らく私のことを覚えていないのです。一人の教師を辞職に追い込んだことなどベア・アーランにとっては取るに足らないことなのでしょう。
そんな時でした。
私に一封の小包が届きました。中に入っていたのは、次のベア・アーランの宿泊予定と殺害の方法が記された資料でした。警察に届けたり、誰かに相談したりするどころか、ベア・アーランへの復讐の念を燃やしながら、私はこの日を迎えてしまったのです。
マップ
1階
2階
所持品
所持品
マスターキー
ペン
リップクリーム
ハンドクリーム
ホテルマニュアル
タイムテーブル
15:00
フロントにてジョーカー・馬場のチェックイン対応。フロントをじっと見ていた。何を確認していたのだろう。
16:30
フロントにてマッグ・エニーのチェックイン対応。緊張しているようなソワソワしているような感じが見てとれた。
16:40
マッグ・エニーが落としたハンカチをテス・プレーが拾って渡すのを見た。
16:45
フロントにてテス・プレーのチェックイン対応。この人は確か2年前のベア学園の事件に関わっていた探偵。ベア・アーランが流した悪評のせいで事務所を畳んだという話を覚えている。ベア・アーランに潰された人物、私と同じね。
18:00
フロントにてベア・アーランのチェックイン対応。「いつもの部屋」だなんて当たり前のように言わないで欲しい。翌朝8:00のモーニングコールを要望された。それが意味を成さないことは分かっているけど体裁として受けておく。
18:30
レストラン&バーエリアでシェフの手伝い。フロントを空けるのは本当は良くないけれど、スタッフが足りないから仕方ない。チェックイン手続きは全員終わったし。
19:00
レストラン&バーエリアのセッティングを終えてフロントに戻る。
19:05
ジョーカー・馬場がレストランへ
19:10
テス・プレーがレストランへ
19:30
マッグ・エニーがレストランへ
19:40
ベア・アーランがレストランへ
20:05
ジョーカー・馬場とテス・プレーが2階へ
20:30〜20:40
マッグ・エニーがバーで一杯飲んで、ラウンジの方へ向かっていった。
20:40〜20:50
ベア・アーランがバーで二杯ほど何か飲んでいた。
20:50
レストラン&バーエリアの入り口でベア・アーランとジョーカー・馬場がぶつかる。ベア・アーランが落としたパイプタバコをジョーカー・馬場が拾って手渡す。ベア・アーランはそのまま2階へ
20:50〜21:00
ジョーカー・馬場がバーで一杯飲んで2階へ
21:10
テス・プレーがバーへ
21:25
フロント周辺に人がいないこと、テス・プレーがシェフ(兼バーテンダー)と話し込んでいるのを確認して、2階へ上がる。周囲に人はいない。ベア・アーランの部屋に向かう。マッグ・エニーの部屋の前を通ったが、ドアノブに巾着袋がかけてあった。なんだろう。でも、お客様のものに勝手に触れるのはホテルスタッフとしてNGだ。ベア・アーランの部屋の前まで来た。廊下に人影はない。部屋の中から物音はしない。殺害手順書には、この時間なら確実に寝ていると書かれていた。なぜそんなことを知っているのかは分からないけど。私はホテルスタッフ、部屋に入ったときに、もしベア・アーランが起きていても、点検だとか何とか言えばいいだけだ。清掃を言い訳にしたっていい。一つ深呼吸をしてから、マスターキーを使って部屋の鍵を開けた。中に入る。ベッドを確認する。本当に眠っている。スカーフを解く。私の生徒を死に追いやった、私の親の商売を傾けた、私から教師という仕事を奪った。これは正義、正義の鉄槌。あなたは殺されるだけのことをした。
※あなたの犯行
21:25 ベア・アーランの部屋
ベア・アーランをスカーフで絞殺
21:40
ベア・アーランが息をしていないことに気付いた。スカーフを握っていた手を離す。スカーフを抜き取る。気持ち悪い、このまま捨ててしまいたい。でも証拠品をこの部屋に置いていくわけにはいかない。自分の首にいつものようにスカーフを巻き直した。部屋を出て誰もいないことを確認してから鍵を閉める。
鳴り止まない鼓動を深呼吸で抑えつつ、人影に警戒しながら廊下を歩く。マッグ・エニーの部屋のドアノブにかけてあった巾着袋がなくなっている。何だったのだろう。早足で階段を降りる。バッグヤードに入り、ふーっと息をつく。誰にも会わなかった。
21:50
バックヤードからベア・アーランの部屋のエアコンを作動させる。死体を冷やすと死後硬直が遅れ、死亡推定時刻が変わると本に書いてあった。送られてきた殺害手順書に唆されたのがきっかけとは言え、こんなことを調べて実行している自分が恐ろしくなってきた。
0:05
本によると死体の周りの環境を低温にしておくことで、死亡推定時刻は2,3時間遅れるらしい。つまり0時前から1時ごろにアリバイがあれば容疑者から外れることができそうだ。ちょうど2階の戸締りをしなければならない時間なので、2階へ行くことにした。階段を上がった正面にある窓の鍵をチェックしていると、右側から部屋の鍵を開ける音がした。今見えているマッグ・エニーの部屋のドア周辺に人影はない。となると、鍵を開ける音はベア・アーランの部屋から聞こえたことになる。そんなはずは。あり得ない。急に怖くなって私は戸締りもそこそこに早足で1階に降りた。
0:15
バックヤードで固まっていると、シェフが呼ぶ声がした。厨房の片付けの手伝いを頼めないかとのことだった。一人でいるよりマシなので引き受けた。
0:20
厨房で片付けをしていると、何度かトイレの水が流れる音が響いてきた。厨房というとちょうどベア・アーランの部屋の真下である。疑問や恐怖をつい口に出してしまいそうになるのを必死で抑える。シェフは何も知らない。この水の音をおかしいとも思わないだろう。何か言ったら怪しまれる。
0:30
片付けは終了した。スタッフ不足につき宿直だ。バックヤードに戻って休憩することにした。
7:30
仮眠から起床。ベア・アーランの部屋のエアコンを止めておく。身支度をした。
7:50
ホテル入口の清掃をしていると鍵が落ちているのを見つけた。ベア・アーランの部屋の鍵だ。マスターキーを除けば、当ホテルの客室の鍵はそれぞれ1つしかない。こんなところになぜ落ちていたのだろうか。
8:00
ベア・アーランの部屋にモーニングコールをかける。出ないのは分かっているけど、昨日の夜中の出来事が頭を過ぎる。3コール目、よかった、やっぱり出ない。モーニングコールに応答がない場合は客室に向かう、このホテルの決まりだ。体裁上、それを遂行する。
8:05
ベア・アーランの部屋に向かうとそこにはテス・プレーがいた。よりによって探偵がいるなんて、ついてない。「マスターキーを持っているか」と聞かれたのでポーチから出してみせる。女性が見るべきでないものがあるかもしれないから先に部屋に入って確認するなんて紳士的な人だなと思った。「ベア・アーランが亡くなっている」そう実際に人から言葉にして言われると、緊張感やら恐怖感やらが増した気がした。
8:10
警察へ通報するテス・プレーの声を背中に聞きながら隣の客室へ向かった。
8:30
テス・プレーの指示通り、他のお客様に声をかけ、ラウンジに全員を集めた。きっと今から犯人探しが始まる。切り抜けられるだろうか。