マーダーミステリー・謎解きクリエイターの確定申告
- schoolenigma
- 3月9日
- 読了時間: 10分
はじめに この記事はnoteに掲載しているものと同じです↓ https://note.com/school_enigma/n/nab2a22754cc2

毎年2月・3月といえば……確定申告!
厳密には2月16日~3月15日(土日祝の配置によってはズレる)ですが、マダミスや謎解き制作による収入のある皆さん、確定申告してますか?
【確定申告とは?】 1月1日~12月31日の所得と、それに対する所得税を計算して確定させ、自己申告するもの。
え~、何それ、めんどくさそ~。やらなきゃダメ?
実際めんどくさいですし、私もそう思っていますが、確定申告が必要なのにスルーしていると脱税(とまでは行かないにしても申告漏れが発覚したら追徴課税のペナルティ)になってしまいます。
どこかで一度は真面目に確認しておくのが吉……ということで今回は、マーダーミステリー・謎解きクリエイター向けに確定申告の諸々をご紹介します!
※税理士でも何でもないので、本記事の内容が確実に正しい保証はできません。あくまで自分のために色々調べる中で知ったことを紹介するのみです。
何円以上で確定申告が必要?
そもそも自分は確定申告が必要な状況なのか、まず気になるのはこれだと思います。基準になる数字はざっくり2つ、「48万円」と「20万円」です。
48万円は創作活動からの収入しかない人や個人事業主・フリーランス向けの基準です。48万円という数字は基礎控除額から来ています。
個人で年間48万円以上を稼いでいるなら確定申告が必要というわけです。
20万円は本業が創作活動とは別にある、いわゆる会社員向けの基準です。本業の給与収入以外で年間20万円以上の収入がある場合は確定申告が必要になります。
月2万円くらいマダミスや謎解きによるお金が入ってくるなら腹をくくって確定申告!ということですね。
学生でアルバイト+創作活動をしている場合も、アルバイト先が年末調整ありの給与所得になるはずなので、だいたいこっちだと思います。
というのと……学生は親の扶養内に収まるかどうかの問題もあるので、アルバイトと創作活動の収入合計が103万やら130万やらを超えていないかは確認しておいたほうがよいです。
アルバイトが給与所得、創作活動は雑所得と別(給与所得控除は55万円、基礎控除は48万円)になっているので、単純に足し算すればいいかというとそうでもなく、アルバイト80万+創作20万はセーフ、アルバイト50万+創作50万はたぶんアウトだったり……ゴニョゴニョ。
こういう大事なこと、高校や大学で必修にしてほしいですよね。
確定申告前のおすすめ事前準備
事前準備を制する者は確定申告を制す!
文章はふざけましたが、これは本当にそうで、どこまで済ませてあるかによって確定申告の面倒さが変わります。
(↑重要度:高) ①源泉徴収票が手元にあるか確認 ②マイナンバーカードの取得 ③マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンか、ICカードリーダー+パソコンの準備 ④ふるさと納税をしている場合:寄附金控除に関する証明書の発行 ⑤マイナンバーカードと健康保険証の紐づけ
①源泉徴収票が手元にあるか確認
本業やアルバイトの給与所得がある人は源泉徴収票が手元にあるか確認しておきましょう。数字や文字が読める状態の写真でもOKです。
生命保険や介護保険を払っているのに源泉徴収票にその記載がない場合(会社での年末調整の際に提出または入力していない場合)は、生命保険・介護保険料の証明書も用意しておきましょう。12月までに郵送で届いているはずです。
源泉徴収票や保険料の証明書を紛失している場合は詰み、または気合いの計算が必要になるかと……。
②マイナンバーカードの取得
マイナンバーカードを持っていると、確定申告がオンラインで完結します。
マイナンバーカードを持っていない場合は、事前に税務署でオンライン申請用のID・パスワードを発行してもらうか、必要書類を集めた上で用紙を埋めて郵送するか、になります。めんどくさいですね。
マイナンバーカードの取得もそこそこ手間ですが、一度取得すればその先の確定申告が楽になります。2024年分の確定申告のためにこの記事を今見た人は、恐らく申請が間に合わないので諦めてください。
③マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンか、ICカードリーダー+パソコンの準備
iPhoneをはじめとしたスマートフォンならだいたい対応していると思います。パソコンでやりたい方はICカードリーダーを買いましょう。
④ふるさと納税をしている場合:寄附金控除に関する証明書の発行
確定申告をする人は、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用できないため、別途対応をしないと控除が受けられません。
ワンストップ特例制度はざっくり言うと、寄附後に送られてきた簡単な書類を埋めて郵送またはオンライン申請するだけで控除処理ができる制度です。ふるさと納税の際に使ったサイトを見に行けばだいたい書いてあります。
で、確定申告をする場合はそれではなく、確定申告側で処理をします。必要書類を揃えて郵送でもいいですが、オンラインでサクッと完結させるための証明書を発行するのがオススメです。
ふるさと納税のサイトによりますが、マイページの控除手続き欄あたりに「寄附金控除に関する証明書」の発行ボタンがあるはずです。発行には数日かかるので、確定申告をしたい日より前に申請しておくとよいでしょう。
発行後は、その証明書をマイナポータルに連携させておくと、さらに便利です。よく分からない場合は、ダウンロードしたXMLファイルを確定申告の際に直接アップロードする方法でも処理できます。
⑤マイナンバーカードと健康保険証の紐付け
どうやらマイナ保険証なるものが現れたらしいので必要なくなるかもしれませんが、マイナンバーカードと健康保険証を紐付けておくと、控除計算用の医療費の入力が自動になって便利です。
優先度を一番下にしたのは、そこそこ健康に1年を過ごしていると、医療費控除が適用されるほどの医療費を使っていないことのほうが多いためです。年収200万円以上で医療費が年間10万円以上だと控除がありますが、入院・手術をしていなければあまりそこまでいきませんね。
雑所得を計算しよう
全然マダミス・謎解き制作に特化した話が出てこないじゃないか!と思われていそうなところでようやく登場です。
ちなみに、個人創作による売上は、タイトルにある通り「雑所得」と言います。厳密には「雑所得(業務)」ですが、(業務)については後で説明します。
BOOTHの場合
特徴 ・源泉徴収されていない ・販売手数料あり ・振込手数料あり
ショップアカウントにログインし、画面上部のアイコン(スマホでは右上の三本線)から「売上管理」を開きましょう。月と金額が並んでいるはずです。
月日は、売上発生月と金額確定日と振込日と色々ありますが、私は「売上発生月(最もフォントの大きい太字)」基準にしています。去年と今年の確定申告でダブったり欠けたりしていなければ基本問題ないかと思います。

①総売上の合計
その年の1月から12月の総売上の合計を出します。総売上は各月で一番大きく書かれている数字です。
②受取金額の合計
総売上の下に書かれている受取金額の合計を出します。
③振込手数料の合計
その年の振込手数料の合計を出します。2025年2月時点のBOOTHの振込手数料は30,000円未満なら200円、30,000円以上なら300円です。
確定申告の金額入力欄は「収入金額」「必要経費」「源泉徴収税額」の3つがあります。
調べた限りでは、①を収入金額・①-②+③を必要経費(売上はとりあえず全額、売上を受け取るのに必要な手数料は経費)とするのが正しそうなので私はそうしていますが、ややこしければ②-③を収入金額・必要経費0としても細かく指摘はされないとは思います。
イラスト代、イラスト・BGM素材購入費など、作品制作にあたりかかった費用は必要経費に足すことができます。光熱費やパソコン購入費も「生活分:創作分」のような考え方をして概算すれば経費に入れてよいそうです。
源泉徴収されていない収入なので、入力する源泉徴収税額は0で、確定申告を経て所得税を支払う必要があります。
マダミス通話アプリ「ウズ」の場合
特徴 ・印税(分配金)という処理 ・源泉徴収されている ・振込手数料なし(なんで?)
ウズスタジオにログインし、「評価と収益」ボタンを押します(スマートフォンでは画面を横向きにすると出てくる)。遷移先の画面で「詳細確認」を押すと、一覧が出てきます。
振込月は自分で申請ボタンを押したタイミングによって変わるため、「収益発生年月」を基準にしています。

①印税の合計
その年の1月から12月の「総収益額」の合計を出します。
②源泉徴収の合計
同様に「源泉徴収金額」の合計を出します。
手数料はないので、①が収入金額・必要経費0・②が源泉徴収税額になります。BOOTHのほうと同じく、イラスト代や素材購入費などは必要経費に適宜入れてください。
ウズの売上は源泉徴収された状態で振り込まれているので、確定申告を経て税金が還付される可能性があります。
また、ウズはAmazonギフト券での支払いも選択できますが、この場合のAmazonギフト券は特典で当たったものではなく仕事の対価なので、銀行振込の場合と同じように確定申告が必要です。
確定申告をしよう!
それでは本題の確定申告をやっていきましょう。ここではマイナンバーカードを使ったオンライン申請をご紹介します。
①オンライン申請はどこから?
上記のサイトにアクセスし、「作成開始」を押します。
申告書選択は基本「所得税」でいいと思います。詳しく知りたい方は白色申告・青色申告というワードで調べてみてください。青色申告(上から2つ目)のほうが控除が大きくなりますが、その分、より細かく仕分けや記入をしなければならないので、私は簡単な白色申告のほうにしています。
マイナンバーカード関連の案内は画面の指示に従えば簡単に進みます。右2つのような画面まで来たら「給与」と「雑(業務・その他)」にチェックを入れます。※給与にあたるものがない人は「雑(業務・その他)」のみです。

②種目・業務はどうすればいい?
以下の画面に来たら、本業やアルバイトの給与所得がある方は源泉徴収票を用意します。「給与所得」を押し、画面と源泉徴収票を見比べながら必要な金額を入力していきます。
それが終わったら雑所得、すなわちマダミスや謎解きによる個人収入を入力します。
BOOTHの場合、種目は「その他」を選び、個人創作・同人活動などでいいと思います。ウズの場合は同様でもいいですし、「印税」も使えるのではないかと思います。
業務は「該当する」を選びます。該当しないのは個人年金や生命保険の配当年金のようなものです。
現金主義による所得計算の特例は「受けない」でいいと思います。気になる人は発生主義と現金主義で調べてみてください。

③収入金額・必要経費・源泉徴収金額・支払者とは?
収入金額・必要経費・源泉徴収金額は「雑所得を計算しよう」で整理した通りに入れます。収入金額は源泉徴収前の金額です。
支払者については各会社の情報を調べに行く必要があります。例えばBOOTHだと「 https://booth.pm/company 」、ウズだと「 https://sally-inc.jp/about-us#companydetail 」に載っています。郵便番号から入れると文字数オーバーになるので、東京都くらいから入れるとよいでしょう。
こういった会社を通した売上とは別で、SNS上で個人依頼を受けた場合は支払者の氏名や住所が分からないことがあります。依頼時点から聞いておくのが最もスムーズですが、今更聞くのは……、ハンドルネームのみでやり取りする関係だし……というときは空欄でも大丈夫なようです。
④最終どういうものができる?
雑所得の入力後、画面に従って最後まで進めると、以下のようなものが自動で作成されます。PDFとしては4~5枚で、他のページは氏名・住所のような個人情報、内訳や控除が計算されている別紙といった感じです。
オンライン申請の場合は「送信」を押せば、郵送対応も必要なく、オンラインで提出が完了します。ほぼ大丈夫だとは思いますが、PDFの1枚目の「電子送信」欄に全て○がついているか確認しておくと安心です。

⑤納税しよう!
源泉徴収が済んでいる会社やウズの収入がメインだと納税額が小さいか、むしろ還付されることがあるかもしれませんが、源泉徴収されていないBOOTHの収入がメインで各種控除(左下あたり)でも控除しきれなかった場合は「51」「53」にそこそこの額が表示され、それを納めなければなりません。
え~高くない? 絶対どこか間違ってるでしょ! と毎年思うんですが、まぁ合ってるんですよね。
そして、余分にお金を取られなくなければ、3月15日(土日祝で多少ズレる)までに納税する必要があります。確定申告終了後に支払い方法の選択画面が出てくるので、好きな方法を選びます。クレジットカードやアプリ決済もできるので便利です。
マーダーミステリーや謎解きの制作による収入がある場合の確定申告について紹介しました。
マダミスや謎解きに特化した確定申告の説明記事はなかなかなくて、私も最初は何が正解なのか分からなかった覚えがあります。この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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