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「扉」

こんな夢を見た。

何とも不可解な空間にいた。真っ黒な扉が八つある。一つ無作為に選んで開けてみる。景色は変わらなかった。また一つ開けてみる。あいもかわらず扉は八つで色は黒だ。開けても開けても抜け出せない。ところへふと気がついた。扉を開ける正しい順序があるやもしれぬと。今いる空間をよくよく観察したけれども、正解の手順がどこかに書かれているわけではないようだ。扉を一つ二つと開けると、なぜか戻ってきてしまったと感じた。どうやら間違いの扉を開けるとその次で必ず振り出しの空間に戻ってしまうらしい。一つ二つと扉を開ける。今度は戻らなかった。三つ四つと開ける。まだ戻らない。五つ六つ、七つ八つ九つ。おや扉が一つ多い。けれども確かに九つ開けた。非ざる戸でも非らくならばそれは扉というのだ。クろい扉の先で待ち受けるは八つ巴。色とりどりの扉であった。

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